2024年の新にNISA制度の開始に伴って、これまで特定口座で運用していた資産をどうすべきか悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。
「特定口座分は利益が出ている場合はそのまま運用した方が良い」というような意見が一部から聞かれます。
今回は特定口座分は売却して、NISA口座で保有すべき理由についてまとめます。
〔結論〕
- 特定口座分は売却して、NISA口座で保有すべき
- ただし、360万円以上は翌年に売却しNISA口座で保有する
- 特定口座での「税の繰り延べ効果」が、NISA口座での非課税効果を上回ることは「ほぼない」
そもそも特定口座で運用する理由とは?
現保有株式を売却せずに保有し続けた方がいいと言う意見は「税の繰り延べ効果」をねらったものです。
例えば、100万円で購入した株式が360万円になり、260万円の含み益が出たとします。これを売却した場合には、利益の260万円に20.315%の税金がかかり、52万8190円がひかれます。
つまり、売却してしまうとNISA口座での運用資金は307万1810円となってしまいます。
それだったら売却せずに保有し、360万円分の値上がりをねらった方が良いという理屈です。
確かに複利の効果を最大化させるためには元の投資資金が多いに越したことはありません。
では、実際に計算してどちらが最終的にお得なのかを確認してみます。
特定口座360万円 vs NISA口座305万円
100万円が260万円になった場合のシミュレーション
今回の条件では、NISAの方が29.5万円お得になります。
360万円を10年間特定口座で運用した場合と、一端税金を払って残った305万円をNISA口座で10年間運用した場合を計算してみました。
年利5%で運用した場合をシミュレーションです。
①は特定口座で10年間運用した場合は586.4万円になりました。ですが、現金化するためには20.315%の税金が掛かりますので、実質的に受け取ることのできるのは②の金額、467.3万円になります。
一方、③は初年度に360万円にNISA口座で残った305万円を10年間運用した場合、496.8万円になります。
特定口座での利益とNISA口座での利益の差は、NISA口座の方が+29.5万円となります。
年数や年間利率が上がる程、この差は大きくなっていきます。
特定口座が勝つのは「30円⇒360万円」になった時(359万9970円の利益)
シミュレーションにおいて、特定口座がNISA口座の成績を上回るのは30円未満で買った商品が360万円になった場合です。つまり、元本30円で359万9970円の利益が出た時です。
このような状況は一般的な株式市場では想定できない状況です。
様々、条件を変えてみても現実的な範囲内で特定口座で運用すべきとする結果は得られませんでした。
特定口座の売却は1年間で452万円(税引後360万円)までにすべき
特定口座に、税引後価格でNISAの年間限度額である360万円以上の資産がある場合、現金化するのは年度ごとに行うことをおすすめします。
現金化したもの以外は特定口座で運用を続けます。
NISA口座では年間で最大360万円投資可能です。限度額に相当する452万円を売却し、税引後の360万円を受け取り、残りは年次ごとに現金化しましょう。
そうすることで、特定口座で資産運用をすることができますし、NISA口座を無駄なく使うことができます。
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