企業分析で知っておきたい2つの公式-PBRとPER-

個別株投資をする際には、投資先の企業の良し悪し図るための物差しが必要になってきます。

これらの指標はたくさんの種類がありますが、今回は投資を始めたばかりのひとでも絶対に抑えておきたい2つの指標を紹介します。

PBR(ぴーびーあーる)

PBRとは?

PBRとは株価の割安・割高感を判断するための指標のひとつです。株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)といいます。

この指標は、株主から預かった資産をどれだけ効率的に企業経営に活かしているか判断することができます。

最近では日本株において、このPBRに強い関心が集まり、特に重要な指標となっています。

PBRを求める公式

PBRは株価を1株あたりの純資産(BPS)で割ることで求めることができます。

分子の株価は株式市場で取引される価格です。

分母は投資家からこれまで集めたお金だと思ってください。

PBR超ざっくりと説明すると

だいぶ小難しくなりましたが、簡単に説明すると投資家から預かったお金を企業がその価値を何倍にできているかという数値になります。

例えば、100万円を預かったA企業が50万円の価値しかなければPBRは0.5倍になります。
同じく100万円を預かったB企業の価値が500万円になっていればPBRは5.0倍ということになります。

PBRが低い会社は無能の証

このPBRは先ほど述べたとおり、投資家から預かったお金をいかに効率良く事業拡大に使っているかという指標になります。

言い方を変えると、PBR1.0倍以下の企業は投資家のお金を減らしているわけです。

東京証券市場はこのPBR1.0倍以下の企業に「1倍以下の無能企業は解散すべし。今すぐPBR1倍割れを解消しなさい。」と迫っています。

多くの企業が改善に動いた2023年

PBR1倍割れの改善を求められた企業の多くが行動に移しました。

数式からPBRを改善するには、分子の株価を高めるとよいわけです。(分母は投資家から預かったお金なので小さくするのは難しい。)

株価を高めるために、企業は自社株買いを行ったり配当をふやす株主還元を積極的に行いました。

その結果、PBR1倍を割れていた企業の株価は軒並み上昇し、非常によい流れを生みました。

PBR1.0倍割れは株価上昇の余地あり

もともと割安感を図るための指標でしたが、2023年はPBR1倍割れを改善する動き(自社株買いや増配)が強く表れました。

今後もその動きは継続するかは見通せませんが、少なくとも東証は改善を求めています。
ある程度の企業改善の動きは期待できると思います。

PER(ぴーえーあーる)

PERとは?

PER(株価収益率)とは、株価を1株あたりの純利益(EPS:Earnings Per Share)で割った比率を指します。PER(株価収益率)は、一般的に、数値が低いほうが株価は割安と判断されます。

また、1年の純利益で計算されるため、1株あたりの1年あたりの利益率を見ることができます。
PER1.0倍は、投資した額を1年で回収できるということになります。

逆にPER50倍は50年かかるということです。

PERの目安は何倍?

では、PERは何倍がいいのかという話になりますが、ひとつの目安は15倍程度です。

理由は日本市場全体のPERが15倍程度だからです。

ですので、日本の株式市場全体と比較したときにPBR15倍未満は割安、15倍以上は割高と判断することができます。

しかし、PBRには企業に対する期待値という側面があります。成長が期待される企業ではPBRが高く、成熟した企業は成長が緩やかな分PERは低いという傾向があります。

ですので、一概にPBR15倍で区切ることも難しいです。
他の同業他社と比較したり、同セクターで見ることが良いでしょう。

PERは国別でも活用可能

PERは国に当てはめて考えることもできます。その国の市場全体の株価平均と純利益に当てはめることで、その国の割安感を図ることができます。

まとめ

  • PBRは企業の経営力の指標
  • PBRは1倍が一つの分水嶺(1倍以下は改善を求められている)
  • PERは何年で投資した資金を回収できるかの目安
  • PBRは15倍が一つのめやす(15年で投資した資金が回収できる)

今回紹介したこの2つの指標は、絶対的に株価を判断するための指標ではありません。
例えば、米国全体のPERが高く、かつ情報通信セクターのPERも高かった時にその状態のまま、株価が上昇し続けたということがありました。

現在のAI市場の活況もその流れに続く可能性が高そうです。

重要なのはこういった指標の意味を理解し、状況に合わせて投資判断を自身で行っていくということです。

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