FIREとは
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとったものです。
Financial Independenceは「経済的自立」とRetire Early「早期退職」を意味する言葉です。つまり、生活していくのに困らないだけの資産を築き、早期退職をするという考え方です。
早期退職の考え方は昔からありましたが、定年まで働き続けるという考え方が一般的だったように思います。FIREは、近年変化してきた働き方やライフスタイル、価値観などを包括的に捉えた早期退職の在り方として注目されています。
FIREブームの火付け役「Pete Adeney(ピート・アデニー)」さんの生き方
FIREという考え方は昔からありましたが、昨今の一大ブームの火付け役は「Pete Adeney」さんのブログからだと言われています。
FIRE以前、ピートさん夫妻はITエンジニアとして働いていました。世帯年収は1400万円でした。
ブログの中で節約・倹約の大切さを訴え実践をしてきました。3人家族のピートさん一家の年間の支出額は2万5000~2万7000ドル(当時のレートで約300万円前後)だったそうです。
9年間では収入の50~75%を貯蓄したそうです。最終的には、約2000万円の自宅と約6000万円の金融資産を築きました。
こうして、今後生活していくのに十分な資産を持ったピートさんは30歳で仕事を退職し、FIREを達成したのです。
下のYouTube映像はピートさんを特集したアメリカ公共放送PBSニュースの特集映像です。
この中で、2019年段階では110万ドル(約1億2000万円)の資産を保有していると語っていますので、FIRE後も資産が増えたことが分かります。
6000万円で一生暮らしていけるのか?4%ルール
年間の支出が300万円のピートさんの一家は、6000万円の金融資産では20年しか生活していけないことになります。
FIREにおける最重要な考え方として、資産は株式、特にインデックスファンドで運用するというものがあります。
S&P500連動型のインデックスファンドの過去の成績については、別な記事でもお伝えしていますが、直近の30年間の年間リターンは9.8%となっています。
この資産を毎年4%ずつ切り崩して生活費に充てることで、資産を減らすことなく生活していけるということになります。
もともと倹約家だったピートさん一家であれば、6000万円の4%でも暮らしていけたのでしょう。
FIREで優先されている価値観:自由な時間
6000万円の4%の配当所得(不労所得)は240万円になります。「240万円じゃ生活していけないよ!」と思う方は多いのではないかと思います。
もっと買いたいものがある、もっと贅沢がしたい、もっと旅行をしたいなどお金の掛かることが山ほどあります。
ピートさんがFIREしたのには、倹約家であるという側面以上に、「自由」を手にしたいという思いが強かったのでしょう。子どもと過ごす時間や、好きなことをして過ごす時間など、仕事をしていては手に入れることのできないもののためにFIREを選択したように感じます。
インタビューには別な家族も出てきますが、自由になった時間で自分で家を建てたり、趣味に時間を費やしたり、子どもの教育に時間を費やしたりしています。
これまではお金を使っておいしいものを食べたり、ハイブランドを身に着けたり、いい車に乗ったりと消費することに価値観を見いだしていた時代でした。
これからは、お金では買うことのできない「自由な時間」に価値を見いだす時代に移り変わったのかもしれません。
そのための手段としての「FIRE」が多くの人にマッチしたのでしょう。
FIREのメリット・デメリット
メリット
メリット:自由な時間が手に入る
FIREの最大のメリットはやはり自由な時間が手に入ることでしょう。時間というお金では買えないものを手に入れることができるということは、このFIREが注目される最も重要な点です。
メリット:仕事のストレスがなくなる
次にメリットとして大きいのは、仕事によるストレスから解放されるということではないでしょうか。仕事にやりがいを感じている、仕事がなによりも好きという人にとってはデメリットですが、そういった人は小数派ではないでしょうか。
少なくとも、嫌なら働かなくてもよいという状況は心の安定に大きく寄与すると思います。
メリット:お金の使い方が上手になる
以外と大きなメリットがFIREする過程で身に着けた、お金に関する知識や向き合い方です。FIREを達成することができた人は、必要以上の浪費をしたりせず、本当に価値のあるものにお金を使っていくということが身についているはずです。
このことが今後の何十年と続く人生の財産になります。
メリット:自分の本当にやりたいことに挑戦しやすくなる
働かなくてよいという選択肢を得たことで、自分の本当にやりたいことに挑戦する大きな機会を得たことにもなります。
これまでは、仕事という縛りがあったために挑戦することに二の足を踏んでいた人も、一歩を踏み出しやすくなります。
メリット:居住地が比較的自由に選べる
FIREしたことにより、ここに居住していなければいけないという制約もゆるくなります。
日本であれば、東京は物価が他の都市と比べ高いです。また、田舎を選択した場合には車が必須というような場合も考えられます。
ですので、金銭的な理由から制約を受ける場合もありますが、これまで以上にある程度は居住地を好きに選択することができます。特に地方都市は比較的物価も安く、公共交通網も発達していますので良い選択肢になるのではないでしょうか。
デメリット
4%ルールが機能しない場合もある
過去30年間の実績から、4%ルールに則れば資産を減らすことなく生活できますが、場合によってはこのルールが崩れる場合も有り得ます。
未来の予測は誰にもできませんから、数年間にわたる大きな不況・下落相場が訪れることがあるかもしれません。
ですので、当初想定していた資産では足りなくなってしまうという事態も想定されます。
そういった場合の対応として、その期間に臨時で仕事をすることや、そのような場合に備えFIREしながらも月数万円程度の仕事をしておくことなども考えられます。
デメリット:受け取れる退職金・年金が減る
退職金は勤務した年数に応じてその額が増加していきますから、早期に退職することで受け取る退職金も減ってしまいます。特に20代、30代で退職した場合にはその額もとても少なくなります。
また、退職することで厚生年金から国民年金へと移行します。この場合、老後に受け取ることのできる年金額は減りますから、老後の資産もしっかりと確保しておくことが必要となります。
デメリット:時間を持て余す可能性
自由な時間を手に入れるためにFIREをしたにも関わらず、その時間を持て余す可能性もあります。
その時間を持て余さない方法を持ち合わせていることも必要かもしれません。贅沢なデメリットではありますが。
まとめ
- FIREはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、経済的自立と早期退職を達成した状態
- FIREの目的は自由な時間を得るための手段
- 4%ルールに則り、金融資産の4%分を毎年の生活費とする
- メリット・デメリットがある
以上が当ブログなりのFIREに対する見解です。
実際にFIREを目指したいという人は、自身の1年間の生活費から、4%ルールをもとに具体的にいくらの金融資産が必要かということを計算してみるとよいでしょう。
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