長期でドル円は108円まで円高になる

※注 今回の記事では長期は10~15年と定義します。つまり、2033年頃におけるドル円に関する記事です。

米国株式市場は8月から軟調な相場が続いています。NYダウ平均に目を向けると2023年8月1日につけた直近の高値35,630.68ドルから、10月27日の直近の最安値である32,417.59ドルと-9.02%の下落となっています。

一方で、米国株への投資を行っている人の多くはこれまでの上昇相場が手伝って、いまだ含み益が大きく出ているという方もおおくいらっしゃるかと思います。

これは2021年から始まった円安の影響が強く出ています。今回は、来年度の為替予想を踏まえながら株式について考えていきます。

これまでの含み益は円安によるところが大きい

2021年の1月1日時点でのドル円は103.24円でした。そこから、じわじわと円安に進み、現在では150円台まで進行しています。

この間、ドル価値は47%も値上がりしたことになります。

また、2021年のコロナショックからの急速な回復も相まって、この時期に米国株投資を始めた人は大きな含み益が出ました。

しかし、我々日本人投資家が気を付けなければいけないのは為替リスクを考慮することです。

2021年4月からのNYダウ工業30種平均のチャート

確かにコロナショック後の米国株の勢いはすさまじいものがありましたが、一方で2021年4月から2023年11月までのNYダウのチャートを見てみると、比較的横ばいで推移しています。

つまり、これまでの含み益には円安の影響が極めて強く出ていたということです。

裏を返すと円高に進むと含み益は目減りしてしまうということになります。

長期で見てドル円は108円まで円高に進む

そこで気になるのは今後のドル円の行く末です。今後の動向についてJ.P.Morgan ASSET MANAGEMENTから投資レポートを参考に解説していきます。

引用:J.P.Morgan ASSET MANAGEMENT「2024 Long-Term Capital Market Assumptions Time-tested projections to build stronger portfolios」より

上の表はJ.P.モルガンの資本市場の2024年時点での予想です。内容は株式や債券など、投資に関わる様々な情報を分析したレポートです。

上の表は10~15年の長期での為替予想です。2024年時点でのドル円の為替予想は1ドル108円となっています。(注:2024年に108円になるという意味ではありません。10~15年の長期の視点でのレートです。)

このような予想の根拠として、このまま現在の米国における高金利が持続されるわけではないこと、日本円の構造的な成長を理由として挙あげています。

つまり、株価の上昇を一切考慮せずにJPモルガンの予想から資産の推移を考えると、現時点でドルで持っている資産は10~15年の長期では40%近く価値が目減りしてしまうということになります。

これはあくまで、株式の上昇を考慮せず、かつ、このデータから仮定した結果なので必ずしもこのようになるというわけではありませんが、為替リスクは十分に警戒して投資判断を行っていくことが必要です。

いったん手仕舞うべきではない(売却すべきではない)

そこで考えたくなるのは、一端売却して円高になった頃に再度、買いなおせばよいのではないかという考えです。

これに関してはおすすめできません。

理由は他の多くの記事でも解説しているように、資産形成の基本は長期での分散です。

また、このブログではインデックス投資を行っています。インデックス投資の基本は「株式を持ち続ける(株式市場に居続ける)こと」です。株式市場に居続けることで、投資効率の最大化を目指しています。

なにより、株式市場より資金を引き揚げるということはその間の複利の効果を得ることができなくなってしまします。

加えて、経済や投資のプロである経済アナリストでも将来の経済・株価動向を正確に見通せる人はいません。

さらに株式市場は、こういった動きを飲み込むような動きをします。
仮に、市場を出し抜こうとしても(今回で言えば、円安で売り、円高で買い戻そうとする行動)、市場は利用できるあらゆる情報の全て織り込済みの動きをします。

これを効率的市場仮説と言います。つまり、それがうまく行くかどうかは運次第となることを意味します。

どのような状況においても、株式を保持し続け、然るべきタイミングで売却することが最適解となります。

最近、売り煽りをよく耳にしたり、目にすることで「売却したほうが・・・」と考えてしまう人もいるかもしれません。

そういった情報には惑わされず、自身の投資ルール(投資の軸)に従っていくように心がけましょう。

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