分散投資ってよく聞くけど、いろいろな株を買えばいいの?
そもそもなんで必要なの?
長期で資産形成をするときの基本は分散投資とよく聞きます。
投資には価格変動のリスクがつきものです。分散投資はこの価格変動リスクをある程度制御しながら、リターンの最大化を図っていくための投資手法です。
今回は分散投資の意味や目的を明確にして、分散投資とは何かについて解説します。
分散投資はなぜ必要なのか
分散投資が必要な理由は、リスク管理(リスクヘッジ)において極めて重要だからです。
なぜ、分散投資がリスクヘッジになるのでしょうか。
例えば、現金の預金しか持たない場合を考えてみましょう。この場合は、日本円の価値が半減したとしましょう。すると、持っている全資産価値は半減したことになります。つまり、預金しか持たないということは日本への集中全力投資ということになります。
このことへの対策として、米ドルを持っていた場合には価値の低下をマイルドにすることができます。
ここで出した例、日本の価値が下がっていくは実際に起こっています。
2000年以降の先進各国の実質GDPの推移を見てみましょう。そうすると、表にあるように日本の成長率は他国と比較して見劣りします。
GDPが高まることで、その国の通貨の価値も高まっていきます。つまり、日本の通貨の価値は年々低下していると言えます。
引用:内閣府「令和3年度 年次経済財政報告」
また、2023年の日本のインフレ率は2.73%です。これは1年前、100万円で買えたものが102.73万円でないと買えなくなったということです。
参考:IMF : World Economic Outlook (WEO) database
銀行預金しか持たない場合には日本円への集中全力投資をしているということになり、その資産価値をどんどん減らしていることになります。
日常生活に目を向けてみても、日本では、賃金上昇の伴わない物価上昇により生活は苦しくなり、身の回りに他国の資本が多く流入し「買われる日本」となっている状況に危機感を肌で感じ、日本円の価値がどんどん低下していることを実感しているのではないでしょうか。
では、そうならないためにどうしたらいいのかというと、他国の通貨も持っておく事がリスクヘッジになります。
もちろん日本円も価値が大きく高まる場合もありますから、日本円で資産を持っておくことも必要です。(そもそも、日本に住む以上、日本円がないと生きていけませんが…)
分散投資の目的
分散投資は価格変動リスクをある程度制御しながら、リターンの最大化を図っていくことを目的とした投資手法です。
集中投資では、その投資先がマイナスとなった場合に資産全体にマイナスの影響が及びます。
分散投資をすることで、そのマイナスの影響を低減させることができます。
逆にプラスの影響の場合は集中に劣りますが、そのプラスの影響を広く拾っていこうというのが分散投資の考え方です。
分散投資の具体的な方法
では、具体的に分散投資の方法について解説していきます。
投資地域の分散
分散投資の第一歩は投資する地域を分散することです。具体的な分散対象は、米国株式、先進国全世界株式、新興国株式が代表的な区分になります上げられます。
先進国には日本、イギリス、フランス等の先進各国が含まれます。新興国には、中国、台湾、インド、トルコ、メキシコ、ベトナムなどが含まれます。
これ以外にも、より具体的な特定国に投資することも考えられます。
ここ10年は米国株式がとても強い時代でした。その10年前は新興国株の時代でした。さらに、その10年前は日本株の時代でした。
地域を分散することで、その上昇に置いて行かれることなく拾っていくことができます。
通貨の分散
様々な国の通貨を持って置くことで、経済成長や為替変動によるリスクを管理することができます。
ただ、これについては賛否はあるかと思いますが、米国ドルで資産を持っていくだけでよいのではないかと思います。
理由については、米ドルの信頼性が揺るがないためです。
米ドルは世界の基軸通貨であり、その所以はアメリカの圧倒的なGDPと世界経済の中心としての信頼性にあります。
第二位の中国も、三位以下の国と比較して圧倒的なGDPを誇りますが、信頼性という意味でアメリカのそれとは埋めがたい程のディスアドバンテージを持つことは否定できません。
もちろん、80年前に英ポンドから米ドルに基軸通貨が移り変わったように、今後、米国ドルから他国通貨に基軸通貨が移り変わることも有り得ます。
しかし、現状では米ドルの価値が下がることは考えにくいですし、それに匹敵する国も見当たりません。つまり、米ドルを持っていることで通貨的な分散は十分と考えています。
通貨への分散は、その国の通貨を実際に持つほかに外貨建ての金融商品やMMFを保有することでも可能です。
商品の分散
金融商品にもいくつか種類があります。代表的な3つを紹介すると、株式と債券と金です。
一般に株式と債券は逆相関の関係にあり、株価が上がると債券価格は低下し、株価が低下すると債券価格は低下します。
(もちろん株価と債券が同時に下がることもあります。過去を振り返ると、そういった場合は○○ショックと呼ばれるような大きな景気後退がありました。そういった場合には、有事の金と言われるように金が買われます。余談ですが、最近中国が金の保有割合を高めています。有事の金…)
この株式と債券を上手にポートフォリオに組みこむことでリスクヘッジを行うことができます。
時間的分散
時間的分散については、以前「ドルコスト平均法を-分散投資の基本-」でご紹介した通り、特定のタイミングで一括で買うのではなく、定期的に資産を分けて購入する方法です。
この投資手法は乱高下する相場で、そのリスクをマイルドにすることができます。
一方で、右肩上がりの相場では資産効率が低下してしまします。
分散投資の具体的な方法
米国ドルへの分散
他国通貨への分散は、その国の株式や外貨建ての投資信託で可能です。
もっとも手を付けやすいのは外貨建ての投資信託です。証券口座を開いている場合、大抵の証券口座で購入することが可能です。おすすめの商品は過去の記事で紹介しています。
参考になる分散投資手法
では具体的にどのような分散投資を行えばよいのかを紹介していきたいと思います。
分散投資の手法として、参考になると言われているのが「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」のポートフォリオです。
GPIFは日本株式25%、国内債券25%、外国株式25%、外国債券25%となっています。
引用:年金積立金管理運用独立行政法人より
株式と債券は逆相関の関係であれば、利益がでないのではと思うかもしれませんが、長期投資では世界経済が成長を続けることを前提としていますから(現にこれまで世界経済は成長を続けています)、最終的な利益は右肩上がりで上昇しています。
ですので、年金という資金の性質上、堅実なリターンを見込めるということです。
債券割合=年齢
ポートフォリオ(金融資産の内訳)に、債券を自身の年齢分の割合だけ組み込むという方法もあります。
例えば、20代であれば「株式8割、債券2割」、30代であれば「株式7割、債券3割」といった具合です。
債券は株式と比較してリスクが低いですから、年齢を重ねるとリスクを取りにくくなるので、債券の割合を高めていくという方法です。
参考:所感と我が家のポートフォリオ
ここで紹介したものは比較的、手持ち資産の多い方向けな気がします。ですので、手持ち資金の少ない間(2000万円未満)は株式一本でもよいのではないかと思います。
または、「年齢-30%」を債券として組み込む程度でもよいかもしれません。
現状、我が家では債券を組み込む予定はありません。
目標とするポートフォリオは米国80%、新興国10%、日本5%、新興国5%程度のバランスを目指しています。
ただし、今後10年の世界株式の動向として、米国株式が成長の重石となることも示唆されています。なので、10年程度の期間を見据えた投資では全世界株式への分散投資ということも十分に考えられるかと思います。
我が家は20年超の期間を見据えていますでの、基本は米国株式市場への投資を継続していく予定です。
まとめ
- 分散投資は長期投資におけるリスク管理の基本
- 分散には「地域」「通貨」「商品」「時間」の4つの分散がある
- 「どうしたらいいのかわからない!」という人は年金の運用の仕方を参考にしてみる
- 年齢によっても分散の仕方が変わる。若い人はリスクを比較的高めにしてもよいのでは
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