株価は、株式市場全体に影響を与える要因や個別企業に与える影響など、様々なことを織り込み、マーケットの極めて合理的な需給によって形成されます。
しかし、時に株価はこういった合理性だけでは説明できない値動きをすることがあります。
このような株価の値動きをアノマリー(経験則)と言います。
8月は夏枯れ相場
8月には「夏枯れ相場」というアノマリーが存在します。
夏枯れ相場とは、8月から9月にかけて株式市場が軟調(相場が低迷)になる相場を言います。
株式参加者の多くが、この時期に利益確定の売りを出すなど、ポジションを一端閉じるためです。(手じまい)
それは、日本市場であればお盆休みに向けて、米国市場で7月4日の独立記念日から9月第一月曜日までのLabor Day(労働者の日)までにかけて長期の夏季休暇に向けて、もってる株式を整理するためです。
8月は1年のなかで3番目にパフォーマンスが悪い月
これまで過去73年間の月別平均リターンを見てみると、もっとも悪いのが9月の-0.7%、次に2月の-0.02%、そして8月の+0.01%となっています。
月間当落率(1950~2023:73年間) | 当落率 |
ワースト1 9月 | -0.7% |
ワースト2 2月 | -0.02% |
ワースト3 8月 | +0.01 |
また、S&P500の73年間の8・9月の相場を見てみると、8月は上昇した回数が40回、下降が33回です。9月は上昇が33回、下落は40回となっています。
対象月 | 上昇回数 | 下落回数 |
8月 | 40回(55%) | 33回(45%) |
9月 | 33回(45%) | 40回(55%) |
9月は12か月で騰落回数が唯一50%を下回っている年です。
つまり、8・9月は1年の中でも株価上昇が見込めない相場ということになります。
2023年の「夏枯れ相場」
それでは、2023年の相場を見てみると、懸念材料もいくつか見られると思います。
8月2日には、突然の米国債の格下げニュースが舞い込み株式市場は騒然としました。
短期の投機筋にとっては大きなサプライズとなりました。
長期の目線で見ると大きな流れが変わることはないかと思いますが、潜在的サプライズ要因であることには違いありません。
また、原油先物価格のWTIの上昇によるインフレ懸念が再燃しました。
WTI(原油先物価格)については、1バレル81.80ドルと1カ月で+15.8%も上昇しました。
原油高には米国における旺盛な個人消費によって原油需要が高まったほか、すでにOPEC+の減産が決定していますので、供給不足となっているためです。
こうなると、米国インフレ率の高止まり懸念も払しょくされなこととなりますから、株式市場にとってはマイナス材料となります。
まとめ
まとめると、8・9月は軟調な相場となり、あまり積極的に買い向かわないほうが良いかもしれません。
特に6月7月は好調でしたから、自分だけ取り残されまいと積極的になっている個人投資家もいるかもしれません。
一方で、インデックス積立投資の場合はそんなことは何も考えずに黙々と積立投資を行いましょう。
それが、インデックス投資の投資効率を最も高める投資戦略ですから、戦略を変えるべきではありません。
- 8月は夏枯れ相場(過去73年間で8~9月の株式市場は下落相場)
- 積極的に8,9月はあまり買い向かわない
- 積立の場合は黙って継続
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