NISAでインデックス投資はオワコンなのか

2024年になり新しくなったNISA制度。そのNISA制度でどのような商品を購入するべきなのか、様々情報が氾濫しています。

そのなかで最近よく耳にするのが「インデックス投資はオワコン。NISAでは買うな」という、「NISAでインデックス投資はやめた方がいい派」の声です。

今回はこの「NISAでインデックス投資はやめた方がいい派」の主張に対する分析と、そこから考える「今後の投資戦略」についてまとめます。

〔結論〕

  • 基本的にはインデックス投資を継続すべき
  • インデックス投資は退屈である。それが最大の試練
  • 反インデックス投資の主張も冷静に分析すべき

「NISAでインデックス投資はやめた方がいい派」の主張と理由

近頃散見される、「NISAでインデックス投資はやめた方がいい派」が主張している理由を集めました。媒体はネットニュースやYoutube、X、5chなどいくつかのプラットフォームから集めました。

〔反インデックス投資派の主張〕

  • NISAの制度設計上、インデックス投資では恩恵を最大化できない
  • アメリカは今後10年低迷するor暴落する可能性がある
  • S&P500やオルカンなどの人気インデックスが買われすぎていて、なんか怖い
  • オルカンはオワコン化する、これを○○買うべき

数ある主張を大分すると上記の4点になります。(ほかにあれば教えてください。)

一つずつ私見を交えて分析していきたいと思います。

「NISAの制度設計上、インデックス投資では恩恵を最大化できない」について

この主張のポイントは「値上がりの大きいものの方が非課税枠を効果的に使える」ということです。

個別銘柄のなかで、2倍3倍になるものや、テンバガー(10倍)になる銘柄を見つけ出し、利益を丸々得るべきという主張です。

この主張は、確かに年数%の利益よりも何十~何百倍になる銘柄の方が効率よくNISA制度を活用していると言えま。

実際に旧NISA制度でもテスラやNVIDIA、日本の半導体関連銘柄に投資し大きな利益を得ているひとがいることも事実です。

しかし、一般の個人投資家はそういった銘柄を見つけ出すのは極めて難しく、特に今年投資を始めた投資家にとっては不可能なことと言っても過言ではないでしょう。

この主張に対する結論は「それがわかりゃ、誰も苦労しない。」です。

「アメリカは今後10年低迷するor暴落する可能性がある」について

NISAで多くの資金が集まっているのが、オルカンやS&P500といった投資信託です。

これらは米株価に大きな影響を受けます。それが、「今後10年を見た時に低迷や暴落する可能性がある」ため、避けた方がよいという主張です。

確かに米国経済の先行きは現段階では見通しを持ちにくい状況です。インフレ動向に伴う金利引き下げのタイミングや回数がどうなるか、経済はソフトランディングできるのか、大統領選挙の行方などいくつかの懸念材料があります。

また、株価は一定の期間的な上下をしており、2000年代は新興国株の時代、2010年代は米国株の時代でした。今後は、米国一辺倒だった資金が別なところに資金移動が起こるのではとの意見もあります。

特に、J.P.MorganやBlackRockなどの米国大手証券会社のレポートでも米国市場の低迷の可能性がが述べられています。

ですが、インデックス投資を行う理由に立ち返って考えてみると、市場の動きは予想できない(効率的市場仮説)ので、一般の投資家は勝率の高い「長期、分散、積立」を実践していくということです。

そして、NISA制度を通して長期的な資産形成を目指していますので、低迷や暴落は長期目線の投資家にとっては絶好の買い場と捉えることもできます。

結論は「NISAは長期的目線で行っているので、低迷or暴落は絶好の買い場」です。

「人気インデックスが買われすぎていて、なんか不気味」について

この意見は、ザ・マネーの西山幸四郎さんや、ラジオNIKKEIの鎌田新一記者など相場経験の長いひとが主張しています。

これまでの経験則から、急激に純資産を築いてきた投資対象はなんらかの暴落や調整局面を迎えるということを言っているのだと思います。

この主張のような現象は、欧州のチューリップバブルに始まり、米国市場ではブラックマンデー、ドットコムバブルなど幾度も繰り返しています。

つまり、人気のインデックスに多くの人が目を向けている現在、バブルの可能性もはらんでいると注視している市場関係者もいるということです。

ですが、市場動向は誰にも予想できませんし、バブルの指標はいくつかありますがそれも絶対ということはありません。

個人投資家の強みを考えてみると、調整、暴落局面で「売らない」という選択もできることです。逆に買い場が訪れたと捉え、買い向かうこともできます。(機関投資家は短期での結果を求められる場合が多いため、このようにはいかないです。)

株価は様々な局面を何度も迎え、時間をかけて上昇していきます。個人投資家の最大の強みである、時間を味方に付けることが重要かもしれません。

つまり、「株価動向を正確に読むことは誰にもできない。だから、個人投資家は『長期、分散、積立』を徹底すべし!時間を味方につけろ。」

「オルカンはオワコン化する、これを○○買うべき」について

この主張はYoutubeのショート動画やTiktokなど、映像コンテンツのなかでよく流れてきます。(私がフィルターバブルにいる可能性も否定できませんが、本当によく目にします。)

その動画を見てみると、「オルカン(インデックス投資)はオワコンなのか」という肝心の理由と根拠がなく、むやみに不安を煽るものがほとんどです。(というか全てです…)

そして、「○○を買うべき」という部分で別の有料コンテンツへの加入を求めてきたり、よくわからない商品をおすすめしてきたり(ポジショントーク)します。

なかにはLINEグループへ誘導してくる場合も存在します。現在、このような詐欺手法が流行っていまっすので騙されないように細心の注意を払うことが必要です。

結論は、「聞く(見る)価値なし!詐欺の可能性もあるので要注意!投資判断はあくまで自己責任(自己決定)で行う」です。

なぜ、「インデックス投資オワコン説」が出回るのか

インデックスファンド投資よりもアクティブファンド投資という話は2023年の7月頃より耳にするようになったように思います。

そこにはいくつかの思惑があったように思います。

まずその一つは金融庁が公表した「資産運用業高度化プログレスレポート」にて、概要は10年間の運用成績において、日本のアクティブファンドの33%がインデックスファンドを上回ったというものです。

また、同レポートにおいてアクティブファンドの役割を次のように述べています。

わが国の資本市場では、機関投資家のパッシブ運用の割合が高い。他方で、アクティブ運用は、調査活動によって、中長期的に成長性の高い企業を発掘し、選別するという、重要な価格発見機能を担っている。わが国においては、米国や欧州と比べて、ベンチマークに勝っているファンドの本数割合が高く、アクティブ運用の拡大余地が大きい。

金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート:アクティブ運用の付加価値の向上」より

要は、日本市場ではアクティブファンドは「隠れた良銘柄を見つけて、市場活性化してくれる」役割もあるということです。

金融庁としては、アクティブファンドへの資金流入も誘導したいということになります。

次の思惑は、「金融機関の新NISAに向けた顧客獲得のためのポジショントーク」です。

これまで、インデックスファンドはその性質から積立投資との相性の良さが広く認知されました。2024年から始まる新NISAではインデックスファンドに資金が流入することは明らかでした。

そうなると銀行や生命保険会社などは儲ける機会を失ってしまいますから、アクティブファンドを持ち上げることで、資金誘導をはかるためのポジショントークを展開しました。

それと同時に「インデックス投資はオワコン」とすることで、アクティブファンドをより持ち上げようとしたことは想像に難くありません。(証券アナリスト(金融機関に所属する株価動向を予測する人)はこぞってアクティブファンドを持ち上げていました。経済エコノミストや経済ジャーナリストとは明らかに方向性が違いました。)

NISAでの投資スタンスはどうすべきか

インデックス投資をしている場合は、基本的な投資スタイルは変える必要はないでしょう。これまで通り、資産形成の基本「長期、分散、積立」を徹底していくのみです。

この基本との相性が最も良いインデックス投資を継続していくべきです。もちろん、それ以上に相性の良いものが出た場合には投資判断を変える必要がありますが、現状その段階にはないと思います。

インデックス投資の最大の敵は退屈であることです。

日々、世界中で様々なことが起こり、多くの情報が出回り、株価は変動し、流行り廃りがあり、債券や不動産(REIT)への投資が話題になり、それらを分析して銘柄選定をして投資をしたくなります。

時にアクティブファンドにも目を向けたくもなります。

ですが、冷静に過去の実績や長期運用に掛かるコストを計算してみると最終的にはインデックス投資に戻ってきます。

インデックス投資は退屈であるという「心の隙」で投資判断を誤らないということが重要になってきます。

この投資判断を誤らないためには、様々な情報についてその背景も推察しながら冷静に分析することが必要となってきます。

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