旧NISAで運用中の資産はどうすべき?

2024年を迎え、新しいNISA制度がスタートしました。

これまでも「つみたてNISA(旧NISA)」を利用しており、資産を売却せずにそのまま持ち越しているという方も多くいるのではないかと思います。

今回は旧NISAで運用している資産を今後どうしていくべきかをまとめました。

〔結論〕

  • 明確な理由がない限り、2037~2042年まで「旧つみたてNISA口座」で運用を続ける。
  • それ以降は、NISA枠があればそちらで買いなおす
  • さらにNISA枠も埋まっている場合は好きにする

旧つみたてNISAの非課税期間は2042年まで

「旧つみたてNISA」は、購入した年から20年目にあたる年まで非課税で運用することができます。2018年に購入分は2037年まで、2023年の購入分は2042年まで非課税で運用することができます。

非課税期間を超過した分については、自動で特定口座に払い出し(再投資)されます。

仮に2018年に購入した40万円分の利益が60万円だとした場合、非課税期間の終わる2037年に非課税でそのまま100万円分が特定口座に移されます。

移管された以降は以降、100万円に対する値上がり分に対して課税されます。

同様にして、2019年分は2038年に特定口座へ移管されます。

年次ごとの特定口座への移管は以下の通りです。

  • 2018年分の特定口座への移管⇒2037年
  • 2019年分の特定口座への移管⇒2038年
  • 2020年分の特定口座への移管⇒2039年
  • 2021年分の特定口座への移管⇒2040年
  • 2022年分の特定口座への移管⇒2041年
  • 2023年分の特定口座への移管⇒2042年

2042年まで保有し続けるべき理由

2020年からつみたてNISAを始め、毎年40万円の積立をしてきた人の場合は、2023年までに160万円の非課税枠を保有していることになります。

それに加え、新NISA制度での1800万円の枠を加えて、1960万円の非課税枠を保有していることになります。

旧NISA分は売却してしまうと、その分は復活しませんので、非課税枠を丸々損してしまうことになります。

つまり、自動的に特定口座へ移管(再投資)される年次まで保有し続けるべきということになります。

旧NISA分を売却するタイミングについて

旧NISA分は移管期限まで持ち続けることがベターと述べてきましたが、売却を検討する場合や期間を終了した資金についても考えてみます。

売却にあたっていくつかのパターンが想定されますので、想定ごとに考えていきます。

  1. 20年間で現行NISAの1800万円の枠を大幅に残していそう(月3万円未満の積立)
  2. 20年間で現行NISAの1800万円の枠を使い切りそう(月10~7.5万円の積立)
  3. 現行NISAの枠の使用感はわからないが特定の支出が必要となった
  4. 5年で現行NISAの1800万円の枠を使い切った(月30万円の投資)

パターン1:現行NISAの1800万円の枠を大幅に残しそうな人

パターン1の場合は特段の理由がない限り、移管の年まで保有し続け、移管の年次に現行のNISA口座で買いなおすとよいでしょう。

その際に、購入する方法として①「つみたてNISAの月額を増やす」②「積立額はそのままで、成長投資枠で買いなおす」という方法があります。

個人的には、管理のしやすさという意味で、成長投資枠で買いなおす方法おすすめです。

ただし、年間の成長投資枠240万円を超える場合は、つみたて投資枠を増額するか、翌年に持ち越すかの対応が必要です。

パターン2:NISA1800万円の枠を使い切りそうな人

パターン2の人も非課税期間終了までは保有し続けることをおすすめします。非課税期間終了後は現行の枠が残っていませんので、特定口座でそのまま保有し続けるか、売却して現金に換えるかの選択をする必要があります。

パターン3:まとまった支出が必要になり、期間の途中(20年未満)で売却を検討する人

パターン3が最も頭を悩ませるかもしれません。必要に応じて売却を検討したり、場合によっては売却せずにローンを組むということも考えられます。

車の購入費用として500万円が必要になった場合を考えてみます。

金利3.0%で返済期間を10年としてローンを組んだ場合、返済の総額は5,793,640円になります。

一見するとローンを組まずに500万円を用意した場合には、793,640円が浮くことになり、お得なように感じますが、この500万円を運用していた場合についてはその結果が変わってきます。

この500万円を株式や投資信託で運用した場合、年利5%のリターンが期待できます。1年間で25万円分のリターンが期待できるということになります。

これらには複利の効果が働きますので、10年間運用した場合には8,144,473円となり、3,144,473円の利息を生み出すことになります。

つまり、ローンを組んだ方が2,350,833円の利益を生み出すことができるということになります。

リターンを手放さないために、ローンを組むという選択肢もあることを認識しておきましょう。銀行のカーローンは1~2%代とかなり低利率でローンを組むことができます。

特に教育ローンの場合は金利が相当低いので、ローンを組むということが十分に想定されます。

これらを念頭にいれつつ、必要に応じて方向性を検討していきましょう。

パターン4:5~10年でNISA枠を使い切る人

パターン4の場合・・・乱暴なようですが、好きにしたらいいと思います。このパターンの方は金融リテラシーも高いと思いますので、ご自身で判断して運用しているかと思います。

まとめ

  • 基本的に、旧NISA口座は非課税期間の期限(2037~2042年)まで持つべき
  • それ以降は、特定口座で運用、現行NISAで再度運用、現金化するの3択
  • 非課税期間中に特定の支出のために売却を検討する場合は、低金利のローンを組むことも想定に入れる

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